コレットは死ぬことにした 105話 18巻の収録だと思うのでネタバレに気をつけてください

花とゆめ, コレットは死ぬことにした

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第105話 | 18巻

「コレット?」

 (兄ちゃん姉ちゃんには言えなかった)

「・・・ハデスさま」

「今  昔の」「夢見てて」「なんか」「・・・」

「ぎゅーって」 「して・・・?」

「ん」

 (ぎゅうって) (苦しくなるくらいに)

「もっとして」

コレットは死ぬことにした105話 花とゆめ2020年22号

■あらすじメモ

冥府へ戻り 早々に就寝、疲れや 少しの寂しさを感じつつも、穏やかな気持ちで ぐっすりと眠りについた、コレットさん。

しかし 翌朝 目覚めると、熱が出てしまっていた。

心労が溜まっていたのだろう コレットさんを、冥府のみんなが 心配してくれて、優しく お世話してくれて、たくさん 甘やかしてくれる。

忙しいハデス様も 裁判へ向かう前に、コレットさんのところへ来てくれた。

「ちょっと疲れただけですよ 一応言うと 村の病とは関係ないですからね」

「今日は寝ていろ 天界(うえ)には知らせておく」

「お手間かけます」

「何かあったら すぐに呼んでくれ」

食欲はあって 味が分かるし、吐き気も なし。微熱なので ゆっくり休めば 治るはず。

ベッドで横になる コレットさんは、すぐ隣で仕事を始めた ハリーと、なにか 話がしたい。

 (何がいいかな・・・)

「・・・・・・」

「ねぇハリー …昨日ね 私が生まれた村に行ってきたんだよ」

「ヒョ コレットが生まれた・・・!」

「そー」

「ハリー 一人で行かなくて よかったよ」

「別に 一人で行ってたら辛かったとかそういうわけじゃないんだけど」

「・・・あー どうなんだろ 一人だったら 辛くなってたのかなあ」

「って それだけの話なんだけど」

「・・・」

「コレット前に言ってたのん 故郷を探したけど道を間違えたって」

「きっとまだ そのときじゃなかったってことじゃ」

「昨日で よかったん」

「なるほど それは いいね」

 (ハリーと話すと おちつく)

 (やっぱり私 ひと運いいよね)

シェフが作ってくれた おいしいお昼ごはんを食べて また寝て。冥府の皆のおかげで 体調の回復に専念できる コレットさん。

こんな至れり尽くせりは 先生の診療所時代ぶりかも と、幸せそうに言う。

「薬師だらけの看護は手厚そうじゃの」

「そうなの 皆が代わる代わる 顔見にくるの」

「誰が寝込んだときもね――――――――・・・」

 (あの頃たまに 熱を出した  今日みたいに ただ熱を出すだけ)

 (そういうときは いつも“あの日々”を 夢に見た)

優しい先生と 仲の良い兄姉に囲まれ 過ごしていても、“あの日々”の夢を見ると 涙が溢れてしまう・・・。

だけど それは コレットさんだけじゃなく、兄姉みんな そうだった。

同じような境遇の兄姉たちは 同じような気持ちを共有し 支え合い、ツラい過去も しっかり受け止め 生きていた。

 (みんな 夢見るんだ  しらなかった ・・・)

 (みんなくらいに大きくなったら わたしも泣かなくなるのかな)

 (あのうら山も こわくなくなるかな)

 (だっておとーさんの おしごとばだもの)

 (おうちも村も きらいになんて ならないよ)

 (今はこわい夢だけど)

 (大きくなったら ほら)

 (お父さん お母さん お墓にお花を置いてきたよ)

 (私は薬師になったよ)

 (こわい夢も 見なくなったの)

 (先生の診療所のね 楽しい夢ばっかり見るんだよ)

 (・・・兄ちゃん姉ちゃんには ぎゅーってしてって言えなかったけど)

 (でもね――――・・・)

いつの間にか眠っていた コレットさん、目覚めると 隣には ハデス様がいた。

コレットさんは 手を伸ばし ハデス様に甘え、兄姉には言えなかった お願いを、今ようやく 口にすることができた。

「ぎゅーって して・・・?」と――――――――

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