それでも世界は美しい 139話 25巻の収録だと思うのでネタバレに気をつけてください

花とゆめ, それでも世界は美しい

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花とゆめ4号の それでも世界は美しい、感想です

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ネタバレ配慮してなくて すみません

■怪我が治ったガルタは タンバ家を訪ね、タンバ将軍の母・マリアと会っている。

片腕だったが 将軍は自分に稽古をつけてくれたことを、気まずそうな表情で話す ガルタ

「息子の最後を 伝えに来てくれたのでしょう?  聞かせて頂戴」

(タンバ将軍は あの空間で 黒いもやに巻き込まれて以来  誰もその姿を 見ていなかった)

(前守護者によって アルを含む全ての者が 助けられていたが  タンバ将軍だけ 帰ってくることはなかった)

「ありがとう 裏切り者とはいえ 子は子です」

「聞けてよかった  陛下も 本来なら タンバ家が断絶しても おかしくないような大罪に 自分の任命責任でもあると情けをかけて下さって」

「尤も もうこの家には 私しかいないのだけど」

「本当に 賑やかな時は 一瞬なんですね」

ガルタは 失礼を承知で、なぜタンバ将軍は 大国を裏切ったのか、マリアに問いかける。

しかし マリアは、息子のことは 手が離れてからは多くを知らない、と 謝罪。

ただ、武官として お城にあがって しばらくした頃、一度 大きく気持ちのバランスを崩したことがあるのだと 教えてくれた。

「タンバ家は 武官の家ではなかったけど あの子は小さい頃から 剣の才能に恵まれて  その才能を 見抜き伸ばしてくれた私の兄に よく懐いていました」

兄に憧れて 心酔していたが、兄が 王家の捜索と抹殺という 黒い仕事を任されていたことを知った時、息子は 酷く動揺し 兄を責めたのだと、マリアは話す。

「正義感の強い子でしたから 自分の憧れを汚されて 裏切られたように感じたのでしょう  兄は静かに受けとめて さびし気に笑うだけでした」

「ただ 兄も限界だったんだと思います」

「その後 すぐ体を壊して 一線を離れて 療養中 姿をくらませてしまいました」

「あの子は兄を責めた事を 後悔していました  けれど持ち直して その後は元氷の王国の総督を任される程になっていたのに・・・ ごめんなさいね  私に わかるのは ここまで――・・・」

 (結局 そのおじ上の恨みということなのだろうか・・・)

 (まだよく わからない)

■タンバ家を後にしようとしていた ガルタを、執事のラサが 呼び止めた。

そして、タンバ将軍は 母に秘密で 伯父の行方を捜していたと、ガルタに 話してくれる。

「私はその手伝いを 買って出ており 伯父上は 姿を消したあと 大国港の街に身を寄せておりました」

「・・・氷の王国との一戦で大国港は 甚大な被害を被りました」

「リヴィウス様・・・現陛下は 市街地の民ごと 敵を撃破致しました その中に 伯父上もいらしたのです」

タンバ将軍は 何度も嘆願し、せめて伯父を救助するまで 攻撃を待って欲しいと 訴えた。

しかし、陛下に届いていたのか いないのか、攻撃は敢行され、ガレキの下から 伯父の遺体は発見されたらしい。

「エンロット様は それから 伯父上のことは 何も話さなくなりました」

「全て陛下が悪いとは思いません」

「ただ陛下の決定は エンロット様には「最悪」だった  名誉と命 伯父上は二度 大国によって殺されたのだと 思いつめてしまったのではないでしょうか」

 (想像の域を出ないけれど あの人は多分 恨みや憎しみで動いていたんじゃない  ただ 声にもできない絶望に 巻き込まれてしまったんだ)

 (そして 多分  最後まで 伯父を拒絶した自分を 責めていた なぜだろう それだけは わかる)

 (あの日ニケ様と旅に出る前の私は無敵だった)

 (けれど あの人に届く言葉は何も持っていなかった)

 (そう 私は自分の言葉を持ってなかった  自分自身を)

 (あの人と もっと話をしたかった  今なら 届くかもしれないのに  この痛みが わかる今なら――――・・・)

 (ニケ様・・・ ニケ様はきっと 私のそんな未熟さを 見守っていてくれていたんだろうか  申し訳ありません)

 (大国に連れて帰ると 誓ったのに)

 (陛下 もしかしたら 陛下も今  思い出と絶望の間で 苦しんでいるのかもしれない)

■毎日 リビに会いに来る ツバイは、アルのことを全部 聞いてほしい、と言う。

だけど リビは、アルの過去を聞いても 同情心が湧くことはない。

「俺やニケにしたことの言い訳にはならねえ」

「それより 俺は アルがアンタに 身の上を話してた方が意外だし 興味がある  アンタには随分 気を許してたんだな」

「そんなんじゃないよ  ツバイとアルは 似た者同士だった  私は 生まれ故郷も 親も知らない 物心つく頃には 氷の王国の下町で 盗みをして生きてた」

「暗殺業者に売られて 善悪も わからないうちに 殺しを覚えた  生きる術だから 心なんか痛まない ずっと そうだった」

 (でも アルに会って  その異常さを 見聞きする度  ツバイの中で 何かがどんどん ふくらみだした)

 (あれは 不安だと思う  何にも心が痛まないのは アルと同じなのだけど)

 (アルは私以上に 虚ろだった)

自分より “下” の人間を見つけて はじめて ツバイは、自分の境遇が 悲惨だと知り、本当は それを望んでない自分に気づき、自分を哀れだと思った。

 (そして 涙が出た  自分の為じゃない 自分の哀れさに気付かないアルがいたたまれなくて 涙が出た)

アルを もっと明るい場所へ連れていってあげたかったけど、どうすれば行くことができるか 分からなかった ツバイ。

ツバイに出来ることは、寂しさを感じ 泣いていたアルの話を、ただ黙って 聞くことだけだった。

 (それがアルにとって 意味のあることだったのかは わからない)

「でも少しでも 穏やかになれていたら いいなと思った  アルが優しく話すと ツバイは少し 楽になった  ツバイとアルは 似た者同士だから」

「アルを救うことは ツバイを救うことなんだ  だから 太陽王 アルを殺さないで」

「ニケ姫がチャンスをくれたんだ もう一度 行き直す  アルが“人”になるまで せめて・・・」

「俺だって わからねぇんだよ  あいつを殺しちまえば 楽なのは わかってるのに  ニケといた日々が それを許さない」

「けど それなら  この憎しみを どうしたらいい」

「教えてくれよ ニケ・・・」

しかし ニケは もう いないことを、アルは 分かっている。自分で切り開くしかないこと、自分で考えるしかないことを、分かっている。

「もう一度 自分の気持ちを見極めにいく」

「アルに 会いにいく」

次回、140話は 6号!

それでも世界は美しい139話

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