それでも世界は美しい 141話 25巻の収録だと思うのでネタバレに気をつけてください
花とゆめ7号の それでも世界は美しい、感想です
最新コミックス23巻 発売中!
ネタバレ配慮してなくて すみません
■カラと悪霊が 目覚めた、と バルドから報告を受け、急いで駆けつける リビ。
部屋に入ると、アル・メンフィスが 悪霊に「君は自分の正体を思い出したんだね」と 確認を取っていた。
「ああ 我が名は シドン・テテオラルク かつてこの大陸の全てを支配した 闇の帝国の帝王 最後の闇帝じゃ」
「闇の帝国って 千年も昔の話じゃないか しかも その帝王って なんで そんな奴が悪霊なんかに・・・」
「我は ただ もう一度 あの “守護者”に会いたかった」
「太陽王 今のお前と我はよう似ている だからお前に覚えていてもらいたい 我やあやつが何者であったか」
守護者の名前は ティルス。ニケに そっくりの 彼は、雨使いの国(雨の公国)の 王族のひとりで、当時の最高術者だった。
千年前 ティルスと出会い、彼の力によって 平和が訪れ、彼の人柄に触れ 彼と幸せな日々を過ごしたこと、しかし 彼が “守護者” となり 別れなければいけなくなった過去を、シドンは 語った。
(許せなかった 裏切りだと思った)
(折しも この時 身内の起こした 内乱により 帝国はいくつかに分かれ 私は数年後の戦いで絶命する)
(結局 こうなのだ 人の世は お前が与えた平和も 簡単に投げ捨てて どうやって自分達が生かされているかも知らず)
(醜い こんな醜い世界に繋がれた 私の半身)
(必ず 解き放ってやる)
(世界がお前を 使役するなら 世界を壊して)
■長い年月をかけて シドンの怨念は 巨大化していった。
そして それから 五百年後、災厄になっていたシドンを封印するため、雨の公国から 術者がやって来た。
「奴は大陸の精霊・高位精神体と共に 私を倒し 碑にその体を分けた 最も怨念の強い部位は 壁を造り 北の果てに封印した」
「果てしない時間の中で 怨念と化した我は 目的も自身の正体も 忘れていった」
「この我は 多分唯一 自分の形を忘れていなかった我だろう 意識の 最後の欠片」
シドンの話を じっと聞いていた リビだったが、戸惑い 口を開く。この話は どうニケに繋がるんだ・・・? と。
すると、アルが「話はここからが本題なんだ」と言った。
「リビ “守護者”になる資格は ふたつある」
「ひとつは 雨の公国の高位術者 もうひとつは 高位精神体 何かの守り神とか精霊 信仰の対象になった人の精神とか」
「とにかく “この世界を守りたい” 気持ちの強い者が 資格を持つんだ」
アルは メンフィスに協力を仰ぎ、王宮図書館の最下層にある 古代語の書物を調べた。
その書物の中に ひとつだけ、天空から守護者が帰ってきた例があった。
「替わりになったんだよ さっき言った 高位の精神体が」
「理想としては 今の守護者と 同等の能力を持った精神体と アマタアラに接続できる 碑があれば」
「守護者は 交換可能なんだ」
もしかしたら、ニケとシドンを 交換できるかもしれない。そうなれば、シドンも ティルスと再会することができる。
「彼女は 精神体ではあるけれど 高位という程じゃない」
「また守り神たりうる程 この世を素晴らしいとも思っていない」
「けれど 資格は あると思う」
「なにせ彼女は かつて世界を滅ぼしかねなかった 災厄だ 能力だけなら 申し分ない」
「それに ここにいる彼女は 自分を取り戻している」
「もはや それは “悪霊”じゃない その彼女の意識を保ったまま」
「各地に散った彼女の一部を集め 統合できれば 高位の精神体になれる可能性はある」
あくまで可能性の話だと メンフィスは言うが、可能性を見出すことができただけで リビにとって 大きな希望。
(また会える ニケに)(会える)
みんなの前で、リビは 喜びの涙を流した――――
■実証を行うため、リビたちは デルニタリ樹海の奥地へと向かい、碑を見つけた。
さっそく シドンは、その碑から 自分の一部を取り出し、統合。意識も しっかりしている。
高位の精神体になるべく 順調なスタートを切った、と思われたが・・・・・・
「だが 足りぬ 太陽王 お前の寿命には 間に合わない」
次回、142話は 10・11号!